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木の芽時

 

「Kaidaさん。 じつは僕、今月いっぱいでこの店たたんでパリへ渡仏します。長い間お世話になりました!」

「え!?」

先日、通っていた代官山の美容室にて眼鏡男子のイケメン美容師に突然のカミングアウトに、ただただ私はオロオロするばかり。

彼が美容師として店を構え独立する前から担当してもらい、かれこれ15年ほどの間柄。 ヨーロッパ美術や現代建築について熱く語っていた彼。

昨年から「フランス語ってどうやって勉強してました?」 と尋ねられたその裏にはそんな決断があったなんてKaidaは知る由もなくとりあえず「アテネフランセに通ってみれば?」と適当に返答していたことに反省。

 

15年も髪を切ってもらうと、お互い会話もなく「前回とおなじていいです」で事足りてしまうもの。 そんな過ぎ去った時間を今、非常に後悔しています。

30代中盤でハサミひとつでパリに行くという硬派なひとはまず私の周囲にはいないタイプ。

なんとなくフランス留学でなんとなく修士論文を書いて約3年で帰国する私の友人とはある種の覚悟が違う。命掛けなのが伝わります。

 

・・・・なんて素晴らしいんだろう、と感銘を受けました。

歯も治療中だし、植木も心配だし、税金も面倒くさそう、のたまう私とは次元が違います。

 

その国の言葉のマスターは「住んだもの勝ち」です。 住んで、働いていればどうにかなるもの、と私は思います。もう、最悪言葉がわからなくても翻訳機能のアプリも活用する時代ですから。むしろ言葉の問題よりもメンタルが耐えれるかどうかが移住のポイント。

 

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「木の芽時」という言葉があります。

冬から春に変わる過程で植物が冬眠から覚めて活動するように人間の体も体調やメンタル面で不安定な変化が起きます。

自分はもとより、むしろ周囲が異動、卒業、引越しなどどんどん変化していくその過程で自分自身が巻き込まれ、影響を受けるのも「木の芽時」といえるでしょう。

周囲の変化を告げるイベントの多い春の季節は一年の中でも独特ですね。

 

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来月からどこで髪を切ればよいのか・・・・私、割と困っています。

どなたかお奨めの美容室ご存知ですか??

桜の開花まであとわずか。

 

 

花の色は うつりにけりな いたづらに

わが身世ふる ながめせしまに  小野小町(9番) 『古今集』

(桜の花の色は、むなしく色褪せてしまった。春の長雨が降る間に。丁度私の美貌が衰えたように。 恋や世間のもろもろを思い悩んでいるうちに。)

 

 

 

皆様、上手に「木の芽時」とお付き合いくださいね!

clumnist/KAIDA

2011年アッシュ・ペー・フランス入社。 横浜タカシマヤのgoldieにて勤務。学習院仏文にて詩人の吉田加南子先生にお習いする。好きなものは重いテーマを扱った小説。文学とファッションなど徒然なるままに書いております。

 

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イラスト Oki

2012年アッシュ・ペー・フランス入社。以後goldie池袋店、横浜店を経て現在は渋谷パルコにて勤務する。多摩美術大学美術学部工芸学科卒業。独特なタッチの水彩画のストはお客様のファンも多い。

3oki