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美貌格差

 

「5歳児の子どもはキレイなお姉さんのいうことは何でも信用する、という実験結果がでています。」

とある番組で心理学者が残酷に言い放った言葉。

キレイなお姉さんとそうではないお姉さんとの区別を情緒的な問題としてではなく実験データーでつまびらかに出来る一方でこんな著書も出版されています。

 

 

コラム6月

そのタイトルもずばり『美貌格差』。 労働経済学者のダニエル・ハーメッシュ氏が論じています。  出版社もムック本などではなく硬派な東洋経済新報社からということで美人とブサイクな人(ブ男を含む)を豊富な資料やデーターで生涯格差が約2700万円あると論じています。こちらは海外のケースですが、日本のケースでは・・・

項目      メリット        金額

〔飲食代〕     おごられる可能性高い⇒192万

〔バイト代〕    高賃金の傾向⇒1,114万

〔光熱費〕     美人は外出が多い⇒234万

〔プレゼント代〕  複数男性から⇒560万

〔配偶者〕     高級会社員と結婚⇒1,125万

〔就職〕      採用に有利⇒???万

トータル金額 3,225万円

(出典・日刊ゲンダイ 2015年5月21日)

 

美人は3200万お得とデーターで示しています。

数字だけでみてみると日本が外国よりも約500万ほど多く美人が得している計算になります。

「美人は光熱費が浮く」というデーターも今まで考えたことがない視点でとても斬新です。 こういう発想力に私など惚れ惚れしてしまいます。

 

で もちょっと注意してみていきたいのですが、とくに社会学や経済学など自分の結論を裏付けるのに都合のいい証拠だけ集める傾向があるということです。

データーの一部だけを抽出したり意図的に資料を統計学にはめ込むのは社会学研究上での重要なテクニックなのは周知の事実。 美貌による格差というセンセーショナルな話題を波風立たないように論じるには「数字」の根拠付けが重要ならざるをえません。

 

果たして美人とはなんぞや、ということを映画という素晴らしい教材をとりあげて少し考えてみることにします。

取り上げた作品は『鑑定人と顔のない依頼人』。 監督はご存知ジュゼッペ・トルナーレ。 『ニューシネマ パラダイス』や『マレーネ』などでも知られる彼の作品のテーマは男性(少年を含む)の女性に対する誇大妄想が根本にあります。

ストーリーは、なかなか姿をあらわさない依頼人の女性(シルビア・フークス)に最初は全く興味を示さなかった老鑑定人(ジェフリー・ラッシュ)が次第に真剣な恋に引きずり込まれるというもの。

この女優さんはイタリアの宝石とまでいわれる『マレーナ』のモニカ・ベルッチに比べるとグラマラスな美人ではないし、どちらかというと近所のお姉さんといった雰囲気。

 

コラム 6月

 

ただしこの映画では彼女は少しづつ自分の情報を「小出し」にして焦らす熟練した技を見せてくれます。

全力で「自分は美人である」という情報を相手に与えるのは初心者。男をコントロールするにはちょっとづつ、ちょっとづつ情報や愛情表現を変えていくという技を鮮やかに提示していきます。

源氏物語でも生垣から葵上をちらちらと部分的なパーツを見て興奮する光源氏からもわかるように、全身の情報は恋心を燃やすにはむしろ不要ともいえます。また 銀座のNo1のホステスさんの売り上げを伸ばす秘訣は「自分の言いたくないことは言わない」とのことです。

 

美人かどうかという問題は容貌よりもむしろ「自分自身の情報を小出しにしてのコントロールできるセルフプロモーションが熟達している」という結論でしょうか。

さてアクセサリーは自分自身の情報のひとつ。お気に入りをたくさんつけるよりもアクセサリーのボリュームを小出しにコントロールをしてみてはいかがでしょうか?

 

 

 

プロフィール

2011年アッシュ・ペー・フランス入社。 横浜タカシマヤのgoldieにて勤務。学習院仏文修士号。こちらで詩人の吉田加南子先生にお習いする。好きなものは重いテーマを扱った小説。文学とファッション、社会学など徒然なるままに書いております。

 

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イラスト Oki

2012年アッシュ・ペー・フランス入社。現在横浜店勤務。多摩美術大学美術学部工芸学科卒業。独特なタッチの水彩画はお客様のファンも多い。

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