60

フランスパンについて

 

毎日の昼食は何を召し上がっていらっしゃいますか?

私のいる百貨店は大規模な食堂が何箇所にも点在しているもの、自分は用意してきた食事をとる休憩室を利用しています。

いつも面白いなあ、と思ってみているのが各個人の食事の内容。

大柄な女性なのに小さくて可愛いお弁当箱だったり。

逆に小さな体つきで巨大なオニギリにスパムミートがはいっていたり、クロワッサンだけだったり、と人の数だけ食べ方いろいろ。

ところで・・

いつも休憩時間に同じになる巨体の男性の食事が興味深いのです。

まずしっかりとした揚げ物がギッシリと入ったお弁当を平らげた後、普通ならここで昼食が終わりなのですが、さらにフランスパンをまるまる一本かじってるんですね。

それをガリガリとカフェオレなんかで流しむわけです。

いわゆる炭水化物の「重ね食い」というものです。

そばやうどんと天丼のセット。もしくは、いなり寿司とそばのセットなど見慣れた炭水化物の重ね食べの例が思い浮かびます。

そもそもこの文化がしっかりと根付いたのは学校給食といわれています。

給食はいかなる児童にも「平等」に栄養価のある食事を、という理念からスタートしたもの。 現代社会では過剰な炭水化物の摂取の弊害から悪者扱いされている米やパンの炭水化物は「平等」の象徴だったわけです。

 

IMG_20170330_124735

フランス革命の歴史はそもそもパンで始まりパンで解決したものといえるでしょう。

1798年のフランス革命の年に公布された国民公会の法令の第9条では

「フランスのすべてのパン屋は、一種類の良質のパン、すなわち平等パンだけを作るものとする。違反したものは禁固刑に処する」とあります。

この9条は同8条「ふすま富裕と貧困は平等の体制からは消滅するべきがゆえに、金持ちは極上の小麦の白パンを食べ、貧乏人はふすまパンを食べるということがあってはならない」を受けてたもの。

もちろんこの法令がそのまま現実となったわけではなく19世紀の後半までライ麦パンやふすまパンを食べていました。

革命によって上質なパンをパンを食べた民衆がまた白パンを食べたい!

19世紀にバリケードを築いた民衆はそんな「平等パン le pain de l’galité」の当時の味覚の記憶が行動を起こしたともいえるでしょう。

国は違えど米やパンで政情は変わるものです。

フランスではパンの長さや重さが法律で決まっています。 バゲットの長さは80センチ、重さは300グラム。

ここでも平等は法律でしっかりと遵守されています。

さあ、きょうのお昼は何を召し上がりますか? お腹がすいてきました。

 

執筆 戒田格

学習院大学大学院フランス文学修士修了。日本フランス語フランス文学会会員。2011年アッシュ・ペー・フランス入社。 横浜タカシマヤのgoldieにて勤務。横浜店7年目突入。

最近はテニスのジョコビッチ選手を見習いグルテンフリーの食生活がマイブーム。

FLO Kaida 20160325