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第7の芸術

 

お客様から受ける質問で困るものに「フランス映画は好きなんですか?」とうものがある。おそらく私のコラムのプロフィールを見てだと思われる。

結論から言うと苦手です。

その理由のひとつに全編を通して衣装がほとんど同じということ。

作品によっては1着のみ。多くてもコーディネートのパターンも3通り位。あの名作「アメリ」でもそのくらいだったと記憶している。

毎回異なる豪華なドレス、オシャレなオフの普段着で観るものを楽しませてくれる米国ドラマに慣れてしまっている私としてはかなりツライものがある。

さらに身繕いシーンで裸の体を濡らしたタオルか、ミトン型のスポンジで水を節約しながら頭までを洗うところまでを見てしまうと、「あー、フランス人は節約家だしな~」と関心はするものの生理的にちょっと、と思うところが多々ある。

まあ、それはさておきフランスにおける映画は、芸術の序列は7の番目。7番目とはいえ「芸術」。(因みに1番目からの序列は建築、彫刻、絵画、音楽、詩、演劇)

撮影する側も映画監督というよりも芸術家ですから鑑賞する側もある程度の素養が求められます。

作品の内容のよっては哲学的で、それを斜め上から目線と受け取る人もいるかもしれません。 これはフランス映画の独特な雰囲気のひとつではないでしょうか。

そういえば今年も6月にフランスでは「哲学」の試験を皮切りに2週間に渡るバカロレア(高校卒業=大学入学資格試験)が行われました。

フランスでは哲学は必修科目。人文系では週8時間。理系でも週3時間割かれます。 試験の「哲学」は知識を直接問うものではなく、生徒自身に哲学的な問題について自分の考えを展開していきます。

そして芸術についても出題も必須でたとえば今年の問題は

「芸術作品は必然的に美しいか?」(Une Oeuvre d’art est-elle nécessairement belle?)

過去の2014年だと・・・

「芸術作品はわれわれの知覚を鍛えるか?」(Les oeuvre d’art d éduquent-elles notre perception?)

「芸術家はその作品の主人なのか?」(L’arttist est-il maître de son oeuvre?)

生徒たちはこのテーマに対して与えられた4時間を使い答案を作成していきます。 このような子達が将来映画監督となるのですから、作品の随所に「哲学的」なものが垣間見れるのは当然といえば当然ですね。 フランス人にとっては共和制の基礎となる自由な市民を作るうえでは欠かせない「哲学」の授業。

よくよく考えてみると、フランスのサッカー選手から街のパン屋さん、ファッションモデルまで皆こういった授業を受けていたのですね。フランスは素敵な国には違いありません。

 

コラム  戒田格(かいだ いたる)

 

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2011年アッシュ・ペー・フランス入社。 横浜タカシマヤのgoldieにて勤務。横浜店7年目絶賛突入中~。学習院大学仏文学修士修了。日本フランス語フランス文学会会員。

最近は米国ドラマリベンジに夢中! ドロドロの復讐ものは大好物。美男美女も盛りだくさんでうっとり夢心地。